- ビッグモーターは潰れる?不祥事の内容を紹介
- ビッグモーターの不祥事への対応とは
- ビッグモーターと損保ジャパンの関係
毎日のようにビッグモーターのニュースを目にします。保険金の不正水増し請求から、内部にはびこるパワハラLINE。さらには街路樹への除草剤の使用など。一代でここまでビックモーターを大きくしてきたのだから、法律スレスレなこともやってきたのでは?と勘ぐってしまいますが、違法なやり方が蔓延していたことが明らかになりました。
やはり気になるのは「ビッグモーターは潰れるのでは?」という点。今回はビッグモーターで行われていた数々の不祥事を洗い出し、何が行われていたのか、今後ビッグモーターはどうなるのかを解説していきます。
ビッグモーターは潰れる?パワハラLINE、街路樹問題など不祥事の内容は?
ビッグモーターの様々な不祥事が取り沙汰されています。この章ではどのような不祥事があったのかを解説していきます。
- ビッグモーターの修理工場で何が行われていた?
- ビッグモーターの不正行為は何が原因だった?
- ビッグモーターの不正行為は全国レベル
- ビッグモーターのパワハラLINE
- ビッグモーターの街路樹問題
山口編集者
古代解説員
ビッグモーターの修理工場で何が行われていた?
ビッグモーターの公式サイトには、不正請求の内容が記載されています。抜粋して解説していきます。
- 入庫時の損害確認段階
車の傷や修理箇所を確認する段階で、ゴルフボールを靴下に入れて振り回して車体を叩いたり、ドライバーを使って傷をつけたりする損傷を新たに作り出していた。
また傷の範囲を誤認するような写真を撮影していたことがわかっています。 - 板金の段階
修理工場では工場長の指示に基づいて損傷していないのに板金塗装を施したり、不要なタワー牽引を行ったりしてあたかも「修理しました」というような偽装を行っていたことがわかりました。 - 損保会社との協定段階
実際の施工内容とは違う内容にて見積もりを作成していました。
このような不正請求について2022年の11月から、集計すると次のような不正が明らかになっています。
2023.7.16現在 | 損保各社合計 |
調査件数 | 8,427件 |
金額 | 21億1,236万3,979円 |
再協定件数 | 1,275件 |
件数割合 | 15.1% |
総額 | 4,995万2,936円 |
一件あたりの平均額 | 39,179円 |
引用元:「ビッグモーター 2023.07.18 当社板金部門における不適切な請求問題に関するお詫びとご報告」より一部抜粋
保険支払いの対象となった8,427件のうち1,275件、約15%で不正が行われており水増し請求の総額は4,995万2,936円となっており、順次返金対応が行われている状況です。
古代解説員
詳しくは後述していきます。
不正請求の流れ
実際に不正請求がどういった流れで行われていたか、順を追って解説します。
損保ジャパンがビッグモーターを紹介すると、ビッグモーターからお礼として「自賠責保険」の新規紹介を5件もらっていた。
- 修理が必要な範囲をさらに広げる行為
- 保険会社が内容をチェックせず保険金を支払っている
古代解説員
「ビッグモーターと損保会社の関係も問題」の章で二社の蜜月の関係について解説します。
ビッグモーターの不正行為は何が原因だった?
ビッグモーターの不正行為は工場に対して課せられている利益に対する厳しいノルマがその背景にあります。
- 1台あたり14万円前後の利益を出す
- 利益を出せない工場長は降格
この2点が、不正水増し請求の根源と言えます。一般的に板金や塗装を行っている工場はあまり多くの利益を生まない部門で、陰で会社を支えている存在です。似たような経理部門や総務・人事部門などは利益を生みにくいことからも、工場で利益を出すのは簡単なことではありません。
ビッグモーターの調査報告書によると、板金塗装の案件を任意に抽出したところ約44%で不正な水増しが行われていた疑いが指摘されています。
古代解説員
ビッグモーターは嘘つき?全国レベルの不正行為
全国34の工場で行われており、どこかの工場だけが行っていたという話ではありませんでした。組織ぐるみで不正を行っていたというのも大きな問題となっています。数々の不正行為により、ネット上では「嘘つき」「ひどい」といった批難の声が相次いでいるようです。
口頭見積りと実際書面での見積りがちがう。
みん評
関係のないところまで交換してある。詳しい説明はない。前人者と当日の窓口担当者の見積りの件引き継ぎがうまくいっておらず、高い金額、交換しなくてもよい箇所までも交換してある。まさに金儲け?の印象をうけた。業界で最安値という文言にだまされた。後で違う業者で見積りをとったら、そっちの方が安いし、きちんとした内容の見積りだった。強い憤りと二度利用したくない印象だった。
関連記事では不正行為の詳細を明記しています。
ビッグモーターと損保会社の関係も問題
ビッグモーターと損保会社には太いパイプがあった事が分かっています。
後述する「ビッグモーターと損保ジャパンの関係」の中でさらに詳しく解説しますが、ビッグモーターから保険加入者の紹介を受けていた損保会社は、多額の手数料を手にしていました。
ビッグモーターのパワハラLINE
ビッグモーターの前副社長兼重宏一氏が部下に送ったLINEの内容がやばいと問題になっています。「死刑」と書かれた文字の羅列を部下に送っていたり、こうした副社長に影響されてか店長や工場長までもが部下に対し「人並以下」「ボケカス」などパワハラメールを送っていたりしたことが明るみ出ました。
ビッグモーターの街路樹問題
ビッグモーターの店舗前に街路樹があると道路から看板が見えづらくなります。そのためビッグモーターの多くの店舗で街路樹に除草剤がまかれたり、伐採がおこなわれたりしています。
山口編集者
道路法第二条第二項目第二号では、街路樹は道路管理者が設置し景観目的や騒音の低減さらには路面の温度があがらない目的で設置されていたものであると規定されています。道路管理者が管理している街路樹を勝手に伐採する行為は器物損壊罪に該当します。(参照:All Aboutニュース)
山口編集者
札幌南店に勤務していた元社員の方が街路樹の伐採について、次のように話をしていました。
- 「環境整備点検」で、点数が悪いと店長が降格となる
- 店長から「除草剤をまいておいて」という指示があった
- 点検の1週間前から、自分を含め、スタッフ総出でまいた
- 1回に除草剤2~3本分をまいた
参照:Yahoo!ニュース
ビッグモーターの不祥事への対応
ビッグモーターの不祥事の対応について気になるところです。
不正請求はどう対応するのか、パワハラを行った社員の処遇はどうなるのか、除草剤をまいた街路樹はどう復元するつもりなのか、以下の通りとなっています。(2023.8.7時点)
代表取締役社長 報酬100% 1年間返上
取締役副社長 報酬50% 3か月返上
専務取締役 報酬30% 3か月返上
常務取締役 報酬20% 3か月返上
取締役 報酬10% 3か月返上
もちろんビッグモーターの顧客への対応や損害保険会社との関係、社内にはびこる風土など手をつけなければいけない問題は山積みです。果たしてビッグモーターは回復できるのか注目が集まっています。
ビッグモーターは株価暴落で上場廃止?
ビッグモーターは株式の上場を行っていないため株価の暴落はありません。ネットで検索すると「ビッグモーター 株価暴落」「ビッグモーター 上場廃止」といった検索数が多く、あたかも実際に起こっているように勘違いをしてしまいますが、ビッグモーターは株式の上場も上場廃止もありません。
ビッグモーターは株式上場していない
SNSでも「ビッグモーター」は株式上場していないことに驚いている方や、株式上場していないから招いた結果なのでは?と様々な意見がありました。
株式上場していない理由
一般的に株式上場していないとどういったメリットがあるのかについても簡単に解説します。
- 上場コストを抑える
- 会社を買収されない
- 株主からの追求を避けられる
上場コストを抑える
株式上場には、上場審査料や年間支払う必要のある上場料があります。会社の時価総額によって異なってきますが、数百万円支払う必要がでてきます。
会社を買収されない
株式上場していると、会社を買収され経営権が奪われてしまうリスクがあります。
山口編集者
古代解説員
株主からの追求を避けられる
また売上が落ちてしまっても株主に説明する必要もありません。ビッグモーターのように同族経営をしている会社にとっては、外部からの声は鬱陶しく感じるものでしょう。株式上場していたら今回のような不祥事がおきることで、それこそ株主が大騒ぎするのは目に見えています。株主から口出しされないのは、上場しないメリットに感じる経営者もいることでしょう。
ビッグモーターと損保ジャパンの関係
損保ジャパンは、事故を起こした保険契約者にビックモーターを紹介していました。これは「入庫誘導」と言われ、違法ではありません。「修理する工場はお決まりですか?」「修理工場を紹介しますよ」というのはよくあることです。
ただしビッグモーターと損保ジャパンの関係はどうやら適切ではなかったようです。
損保ジャパンは、修理を希望する保険契約者をビッグモーターを紹介する見返りとして、自賠責保険加入の紹介をビッグモーターから得ていました。損保ジャパンから修理希望者を1件紹介するごとに、ビッグモーターは5件〜7件の自賠責加入者を紹介していたとのこと。
損保会社が自賠責の契約を引き受けると、5,056円/件の手数料が入ります。金額にしては大したことはないように思えます。
しかし、業界全体で損保会社に入る手数料は2,000億円を超えると言われています。自賠責は件数が多いため馬鹿になりません。
損保ジャパンがどれだけの手数料を得ていたかは不明ですが、かなりの額の手数料を手にしていた模様です。
(参照:Yahoo!ニュース)
ビッグモーターには損保ジャパンからの出向者がいる
ビッグモーターに損保ジャパンからの出向者がいます。
山口編集者
東京海上や三井住友海上ではそれぞれ三人程度なのですが、損保ジャパンからは37人もの出向者がいるのです。
ただ、今のところ出向者はどのような役割があり、今回の不正水増し請求にどのように関係しているのか、あるいはしていないのかについては明らかになっていません。少しずつ解明されていくことでしょう。(2023.8.7時点)
保険金支払いがノーチェック?
損保ジャパンは完全査定レスで保険料を支払っていました。通常はアジャスターと呼ばれる損害査定人が修理内容のチェックを行うのですが、損保ジャパンではこれを省略していたのです。
これは前述したとおり損保ジャパンにもそれ相当の見返りがあり、強く言えなかったのではないのかと想像できます。
ビッグモーターは潰れる?やばい?世間の声まとめ
ここまでの章でビッグモーターの不正について理解が深まったと思います。続いてはビッグモーターに対する世間の声を見ていきましょう。
山口編集者
損保ジャパンもやばい
ビッグモーターだけではなく損保ジャパンもやばいと言われています。ビッグモーターと損保ジャパンの関係の章でもお伝えしたとおり、入庫誘導の際に見返りとして自賠責の契約を受け取っていました。
山口編集者
ビッグモーターは潰れる
ビッグモーターは潰れるといった世間の声は多いです。SNSの投稿では「当初は潰れないと思っていたが」という声もあり、業界最大手であるビッグモーターは潰れないのではと思っている人も多いでしょう。
しかしこれだけ大きな不正が明らかになり、パワハラ問題や街路樹問題など連鎖的に様々な問題も出てきています。
山口編集者
3代目で会社は潰れる
同族経営の会社は3代で潰れると言われています。その理由を6つ挙げます。
- 後を継いだ世代に経営能力がない
- 経営に関しての助言をする者や助けてくれる者がいない
- 家族とビジネスの境界線が不明確
- 事業継承について明確なビジョンがない
- 家族間で信頼度の低い者が経営者になってしまう
- 家族間で十分なコミュニケーションがとれていない
初代の元社長兼重宏行氏の会見でもわかる通り、元副社長は一切会見に現れませんでした。結局のところ元社長は経営者として、元副社長を認めていないか親心として子供を守っているか、いずれにせよ同族会社でなければ、このように副社長が現れない、会見をしないということはあり得ないでしょう。
元社長はどこまで知っていた?
ビッグモーターの不正水増し請求について元社長の兼重宏行氏は「経営陣は知らなかった」と会見で話していました。現時点では、実際のところは定かではありません。
兼重社長は、「保険金を不正に請求するよう自身が具体的に指示した認識はなく、ガバナンスの問題は認めるものの、自身も被害者である。しかし、他の経営陣が関与している可能性は排除できない」という心理であったと推測します。
東洋経済オンライン
まったく知らなかったということはないと思いますが、事の真相はまだはっきりしていません。
街路樹が枯れているのはコンサル会社・武蔵野の影響?
街路樹が枯れている原因は、除草剤による環境整備だと新社長が漏らしてしまいました。ビッグモーターはコンサル会社「武蔵野」のコンサルを受け、環境整備という名目で盲目的に伐採していたようです。
コンサル会社「武蔵野」の言う環境整備とは、簡単に言うと社内の整理整頓・清掃などを徹底すること。環境整備チェックがアウトになると店舗全体の責任になってしまい、店舗によっては深夜まで掃除をしていたとのことです。
さらに店舗前をどんなにきれいにしても、街路樹の落ち葉を食い止めることはできません。そこで、葉っぱをなくせば落ち葉もなくなり掃除をしなくて済む!という発想に至っているのではないかということもSNSで話題になっています。
また、街路樹が邪魔で道路から店舗が見えにくいということも街路樹が伐採された理由の一つだとも言われています。
このように景観を含めた整理整頓・清掃が徹底されていないと降格になってしまうことを恐れ、とにかく綺麗にすることを徹底していたビッグモーター。
環境整備の教えを誤解していたのか、盲目的な信者となってしまった経営者が悪いのか。いずれにせよ街路樹伐採が問題であることは間違いありません。
パワハラにドン引き
前述しているLINEでのパワハラに続き、名刺にも小学生のようないやがらせをされていたことも発覚しました。デスクのパソコンに自身の名刺を貼っていたところ、SNSにあるとおり落書きをされてしまったとのこと。
古代解説員
まとめ:ビッグモーターは潰れる可能性が高い
- ビッグモーターは潰れる?不祥事の内容を紹介
- ビッグモーターの不祥事への対応とは
- ビッグモーターと損保ジャパンの関係
ビッグモーターの不祥事・不正水増し請求について解説しました。ポイントは組織ぐるみで不正をおこなっていたという点と保険会社と癒着していた点です。
中古車販売国内最大手のビッグモーターだけに、大きな動きがあるのは間違いないでしょう。
例えば「民間車検の指定取り消し」です。ビッグモーターでは、2023年3月に熊本浜線店、2023年6月に宇都宮南店において「民間車検の指定取り消し」の処分が行われています。
仮に全店舗で民間車検の指定取り消しが行われた場合、再取得には2年かかります。結果として、ビッグモーターの客離れはさらに進んでしまうことでしょう。
ビッグモーターは兼重社長が辞任し、現社長の和泉伸二氏がどのようにビッグモーターを立て直すのか、それともビッグモーターは倒産に追い込まれてしまうのか、注目が集まります。