- 日本製鉄がやばいと言われる理由
- 日本製鉄の気になる評判・口コミ
- 日本製鉄の年収
日本製鉄は鋼管や建材などを製造する製鉄事業を中心に、世界規模で事業を展開している鉄鋼メーカーです。
日本最大手かつ世界シェアもトップレベルの日本製鉄なので、就職や転職を検討している方も少なくはありません。
しかし、「日本製鉄はやばい」「今後つぶれる」という悪い噂もあるため、日本製鉄が今後どうなるのか気になる方もいるのではないでしょうか?
そこでこの記事では、日本製鉄がやばいと言われる4つの理由や経営状況などについて分かりやすく解説します。
小室解説員
山口編集者
日本製鉄はどんな会社?
会社名 | 日本製鉄株式会社 |
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内2-6-1 |
代表取締役社長 | 橋本 英二 |
従業員数 | 106,528名(2022年3月31日現在) |
公式サイト | 日本製鉄公式 |
日本製鉄は最大手の鉄鋼メーカーで、建築や自動車産業をはじめとする日本のものづくり業界を支えています。
会社の大元は1950年に設立していることから、長年世界規模の製鉄事業の中核を担っている大手企業であることが分かります。
歴史が長い企業であるため、統合や経営方針の変更などによって社名が頻繁に変更されていることも特徴の一つです。
日本製鉄の前身である「新日鐵住金株式会」は、2012年に当時業界一位の「新日本製鐵」と業界3位の「住友金属工業」が経営統合して発足しました。
その後、当時業界4位の「日新製鋼」の子会社化など体制を整えて、2019年に現在の社名「日本製鉄(にっぽんせいてつ)株式会社」に商号変更されました。
山口編集者
小室解説員
日本製鉄グループの事業内容は下記の通りで、メインとなる製鉄事業だけでなく大きく4種類の事業を行っています。
- 製鉄事業
- エンジニアリング事業
- ケミカル・マテリアル事業
- システムソリューション事業
鉄の製造そのものはもちろん、製造プロセスでのエンジニアリング事業、鉄道や導線の溶接加工を行う事業など製鉄事業全般に対応できる技術を持ち合わせています。
また、物流を担当する事業や新素材の開発やシステムソリューション、不動産事業など、幅広く事業を展開しており子会社の数が多いことも特徴です。
日本製鉄に就職する場合は、鉄鋼の製造に関する部門だけでなくさまざまな事業に配属される可能性があります。
日本製鉄がやばい、潰れると言われる理由。決算情報やリストラ問題、市場問題から分析
小室解説員
山口編集者
- 2019年の決算発表で4,400億円の通期赤字を公表した
- 経営難にも関わらず人員整理をしていない
- 日本における鉄鋼需要が今後も減少していく
- 鉄鋼市場は中国に左右される
ここからは、日本製鉄がやばいと言われてしまう原因について解説します。
やばい理由① 2019年の決算発表で4,400億円の通期赤字を公表した
日本製鉄が経営難になった時期があることは事実で、2019年の決算発表では4,400億円の通算赤字が公表されています。
赤字という経営状態が世に広まってしまったことから、「日本製鉄はやばい」「つぶれる」といったイメージを持っている方も少なくはありません。
「台風や生産トラブルによる減産」「鋼材需要の低迷」といった理由から、2020年3月期の連結最終損益が4,400億円の赤字。
広島県呉市の呉製鉄所を23年9月末で事実上封鎖。
2019年前期は2511億円の黒字であったものの、後期は過去最大の赤字になってしまい、大規模な製鉄所が閉鎖されることも決定しました。
当時の副社長はこの決算報告について「経営体制をスリム化して早期に収益の回復を図りたい」と述べていて、2020年前後から経営方針や安定した体制作りに力を入れています。
山口編集者
小室解説員
やばい理由② 人員整理をしていないためリストラへ?
2019年に過去最大の赤字となった日本製鉄ですが、当時は人員整理をしていなかった点に関してもやばいという声が挙がっています。
突然の経営難によって封鎖されることになった工場で働いていた方はリストラという形になってしまい、これは人員整理を出来ていなかった影響も少なからずあります。
ただし、人員整理や経営拠点の再構築に関しては、2021年3月5日に「2025年までの経営計画」を発表しました。
- 全国10カ所以上の拠点で加工設備の生産停止
- 全国に14基の高炉が10基に変更
- 鉄の国内生産量は20%減の4千万トン
現在は、鉄自体の販売量は減少するものの1トンあたりの利益をあげていく方針で安定しています。
また、歴史が長い日本製鉄だからこそ、工場や設備の老朽化に大きな更新費用がかかっていることも問題となり設備の縮小が決定しました。
日本製鉄の工場廃止によって、そこで働いていた人たちの大リストラが行われたことも事実であることが分かります。
山口編集者
やばい理由③ 日本における鉄鋼需要が今後も減少していく
製鉄事業をメインにしている日本製鉄ですが、鉄や粗鋼の需要は今後も減少していく恐れがある点に関してもやばいと言われています。
今は日本最大手の製鉄企業として安定していますが、今後製鉄そのものの需要が減少して衰退していく可能性がないとは言えません。
2025年までの経営方針でも製鉄の生産量を減らす動きになっているため、今後メインとなるビジネスは変遷して行く可能性が高いです。
もし製鉄を作りたいという想いがあって日本製鉄に入社したい方は、今後事業内容が大きく変わる可能性があることも把握しておくと安心です。
なお、日本製鉄は子会社が多く幅広い事業を展開しているため、このまま鉄鋼需要が減ってしまったとしても別の事業を展開していくこともできます。
小室解説員
やばい理由④ 鉄鋼市場は中国に左右される
世界規模の高度な技術を持っている日本製鉄ですが、近年では中国を中心とする海外での需要に大きく左右されているのが現状です。
日本よりもはるかに人口が多い中国でのニーズは、市場の動きがダイレクトに影響してしまいます。
日中関係の悪化など事業とは関係ない外的要因によっても影響されることから、日本製鉄は基盤が緩くてやばいというイメージを持つ方もいても仕方ありません。
また、直近では新型コロナウイルスによる入国制限なども利益に大きく影響する理由として挙げられます。
山口編集者
小室解説員
日本製鉄の悪い評判・口コミ
小室解説員
山口編集者
- セクハラやパワハラの事件が過去にある
- 長時間労働やうつ病、自殺者なども
- 「辞めたい」と考える人も一定数いる[/list]
セクハラやパワハラの事件が過去にある
日本製鉄では2021年に人事担当者が採用予定者の女性にセクハラをしていたというニュースが報道されました。
実際にセクハラやパワハラの事例があることからも日本製鉄がやばいというイメージがついていている方も少なくはありません。
- パワハラが常態化して離職者が極端に多い部署や課がある
- パワハラがあっても厳重注意で終わる
パワハラが常態化した部署が一定数存在し、離職者が多い部、課が存在する。
パワハラに関しては労政人事も改善する気がなく、事案が発生しても厳重注意で終わる。離職者が多い部署、中継部がいない部署はパワハラが常態化してると考えて良い。
引用;転職会議
日本製鉄で働いていた社員からは上記のような口コミが見受けられており、パワハラと感じるような厳しい仕事環境だったケースもあるようです。
長時間労働やうつ病、自殺者なども
日本製鉄の社員がうつ病を発症して自殺したとされる事例もあり、長時間労働も問題になっています。
部署や業種によって就業環境が大きく変わりますが、なかには激務になるケースもあることを念頭におく必要があります。
職種によっては若手でもスケールの大きな仕事に携われるといった口コミもあるため、責任が重い仕事をしたくない方には向いていません。
「辞めたい」と考える人も一定数いる
就職難易度が高い日本製鉄にせっかく就職できても、辞めたいと考える方も一定数いるのが事実です。
日本製鉄で実際に働いていた人の口コミでも離職者が多い部署があることが分かったので、辞めたい方も少なくはないことが分かります。
どの大企業にも言えることですが、残業が多い部署などではワークライフバランスも取りにくいため、やりがいのある仕事よりもプライベートを優先したい方は要注意です。
日本製鉄の場合は、部署ごとに雰囲気や業務量の差も大きくなる傾向にあり、就職活動を始める前にしっかりと企業研究することが大切です。
日本製鉄の就職難易度や年収、採用大学について解説
山口編集者
小室解説員
国内最大手鉄鋼メーカーの一社なので就職難易度は高い
結論から言うと、国内最大手の鉄鋼メーカーである日本製鉄の就職難易度はかなり高いです。
ただし一概に日本製鉄といっても、総合職・開発・企画・技術など職種が非常に多いため、職種によって就職難易度が大きく変わります。
例えば、本社や技術開発本部などではなく、製鉄所の社員であれば北海道から九州まで事業所がある上に就職難易度も低いです。
採用の特徴としては中途採用より新卒採用から積極的に採用しており、人材を大量に確保してから育成していくという大企業ならではの体系が特徴です。
日本製鉄の社員口コミでは「貢献度が高い若手よりも管理職の給料が高い」といった口コミも見受けられたため、年功序列の風土が根強く残っている昔ながらの社風だと言えます。
会社への貢献度の高い若手よりアウトプットの低い管理職の方が給与が良い
引用:openwork
平均年収は500~600万円前後
日本製鉄の平均年収は500〜600万円前後になっていて、日本全体の平均年収よりもやや高い傾向にあります。
しかし、大企業ならではの高額な年収と言える額ではなく、就職難易度が高い企業の割には一般的な会社と大差はありません。
ただし、平均年収は就職したての新卒〜管理職クラスまでの平均値をとっている点に注意が必要で、長く在籍していると年収も高くなります。
日本製鉄の年収に関する社員口コミでは、典型的な年功序列制度で平等に昇格・昇給していくことが多いという意見が多くありました。
・多少ボーナスに査定はあるがおおむね年功序列
・最近は兼業級の割合が増えているが、基本は年功序列
・年功の要素が強く、安定して基本給が上がっていく
引用:openwork
社員口コミによると総合職の場合は1年間に6〜8千円ほどの昇給が多いようで、賞与は業績連動型となっているため、業績が良い年には年収が高くなる傾向にあるようです。
日本製鉄の採用実績!出身大学や学歴フィルターについて
朝日新聞EduAが公表している「企業入社難易度ランキング2021」では、機械・鉄鋼・金属・造船部門で日本製鉄が1位となっていることからも就職の難しさが伺えます。
(参照元:企業入社難易度ランキング2021 )
- 大阪大学
- 東京大学
- 京都大学
- 九州大学
- 東北大学
- 早稲田大学
やはり難関大学からの採用率が多くなっており、学歴フィルターが設定されている可能性も高いです。
ただし、年々採用割合は減少しているものの、入試難易度50以下の大学からの採用実績もあるため、必ずしも学歴フィルターがあるとは限りません。
小室解説員
山口編集者
日本製鉄の将来性は?2021年に黒字回復
日本製鉄がやばいと言われる4つの理由について解説してきましたが、「結局今後どうなるの?」と疑問を抱く方も多いはずです。
やばいという噂や工場閉鎖の事実があることは確かですが、さまざまな経営改革の結果、売上は2021年にV字回復しています。
小室解説員
供給過剰の見直し
生産量の見直しを行わないと、需要が減少する製鉄市場に対して供給過多になってしまい無駄な製造が増えてしまいます。
人件費や製造費が無駄になるだけでなく、供給過剰の状態では製鉄自体の価値(金額)も減少傾向になります。
それらの状況を踏まえて、日本製鉄では2020年から「低⽔準の数量」でも安定した営業利益を確保できる収益構造を採用しています。
赤字だった2019年から2020年下半期において、「単独粗銅:4,185万トン→3,672万トン」「銅材出荷:3,870万トン→3,354万トン」に減少しています。
生産量が減少するというとマイナスなイメージがありますが、下記のようなメリットもあります。
- 固定費の削減
- 生産コストカット
売上自体は減少したとしても今まで無駄にかかっていた固定費や製造費を削減できることから、営業利益を確保できるようになりました。
日本製鉄では鉄鋼の供給過剰が発生していたので、多くの無駄なコストがなくなって適切な供給システムを構築したということです。
やばいと言われる理由に「人員整理をしていない」とありましたが、これらを徹底的に見直すことで2021年の経営V字回復につながりました。
価格の値上げ
鉄の販売価格の決め方は複数ありますが、日本製鉄では「紐付き価格」を採用しています。
販売者と大口顧客の相対契約となり、両者が相談して決める。
交渉次第では、安く買い叩かれるケースがある。
赤字経営となっていた日本製鉄は本来得るべき収入を得られていなかっただけだとして価格の値上げに踏み切りました。
日本製鉄の大口顧客では中堅自動車メーカーが多く、取引先から不満の声が見受けられていることも事実ですが、現在は値上げを行って安定した収益を確保しています。
上記は日本製鉄の2021年決算状況の表であり、ひも付き価格の是正をはじめとする経営改革のおかげで統合後最高の利益を実現していることが分かります。
主要取引先である自動車メーカーの生産量が減少したり、国内の鋼材需要が減少したりといったケースでも安定した利益を確保できる収益構造だと言えます。
山口編集者
小室解説員
固定費の削減
人員整理や経営状態をしっかりと管理できていない節が多かった日本製鉄ですが、V字回復した現在は無駄な固定費を徹底的にカットしています。
もっとも大きく影響が出たのが、老朽化している生産設備や高炉の構造対策です。
日本製鉄がやばいと言われる理由で工場が続々と閉鎖されていることを解説しましたが、現在はスピーディーな生産対応のために日本全国で大規模に整理されています。
2020年の決算報告では現状の需要を踏まえつつ、続々と稼働体制を調整していく計画を公表しています。
特にバンキング(送風を停止して高炉を一旦停止すること)をしている製鉄所が多く、無駄なコストを徹底カットしています。
山口編集者
日本製鉄は今後つぶれることはないが将来的には不安が残る
やばいと言われている日本製鉄ですが、就職を検討している場合は今後つぶれるのか気になる方も多いのではないでしょうか?
大規模なリストラや赤字経営でやばいというイメージが付いていますが、2021年のV字回復以降は比較的安定した経営基盤ができていると言えます。
また、製鉄業界ではトップクラスの実績があり、日本のみならず世界規模でビジネスを展開しているので、今後つぶれる可能性はかなり低いです。
経営改革では、鉄鋼の需要が減少しても安定した収益を得られるシステム構造を作っている点に関しても安心できます。
ただし、製鉄業界自体の衰退に伴ってつぶれる可能性も0ではなく、どの業界にも共通して言える事ですが100%潰れない保証はありません。
まとめ
日本製鉄がやばいと言われる理由や辞めたい・パワハラ・うつ病・潰れるといった噂について解説しました。
2019年頃は赤字経営となり「やばい」「今後どうなるか分からない」という意見もありましたが、現状は経営基盤が安定している大手鉄鋼会社だと言えます。
実際に日本製鉄で働いている人の中には辞めたいと感じていたり、うつ病を発症したりするケースもあるため、ご自身と企業との相性を見極めることが重要です。
小室解説員
山口編集者