オリンピック延期の影響でマンション価格はどうなる？

オリンピック延期の影響もあり、あちこちで空きテナントも増え、商業用不動産の価格は不安定になっています。とはいえ居住用の中古マンションにも影響があるのでしょうか。この記事ではオリンピックの影響で中古マンションの価格はどうなるのかについて解説しています。

2019年までは高値で推移していた

オリンピック延期発表前まで中古マンションは高価格帯で推移していました。首都圏の中古マンションの成約物件の価格は2009年～2012年までは2,500万円前後で推移していましたが、2013年以降右肩上がりで伸び続け、2019年には3,500万円前後の価格となりました。

（参照：首都圏不動産流通市場の動向(2019年)　 公益社団法人東日本不動産流通機構）

10年前と比較すると約40%価格が上昇しており、この間は右肩上がりで推移していました。中古マンションの価格が伸びていた理由は大きく分けて3つあります。

特に2013年以降はアベノミクスと呼ばれる経済対策により、お金が不動産市場に流れてきて、首都圏を中心に中古マンションの価格が上がっていました。また、2013年9月には2020年に東京オリンピックが開催されることが決定し、首都圏を中心にマンションなどの不動産の需要が増えました。

しかしながら、2020年に当初開催される予定だった東京オリンピックが延期されることが発表され、中古マンション市場の価格上昇に歯止めがかかりそうです。

もちろんマンション価格はオリンピックだけに影響されるわけではありません。日本の人口などを踏まえてマンション投資を始めるべきかをマンション投資は人口減少するから危険？で解説しています。

東京オリンピック延期で相場が下落する可能性

東京オリンピック延期の発表で、今後の中古マンションの価格は落ち着く可能性は高いでしょう。

東京オリンピックの2021年の開催も不透明

東京オリンピックは2021年の開催が発表されました、現実的には本当に開催できるか不透明です。投資家は「また延期になるのでは？」「もしかしたら中止になるかもしれない」という不安感から積極的に不動産を購入しようという意欲が減退していきます。

中古マンションの賃貸需要についても、開催されるかわからない東京オリンピックのために借りようという意欲が薄くなってくる可能性が高いです。投資家の購入意欲・賃貸需要の低下により今後中古マンションの相場が停滞する可能性は高いでしょう。

中古マンションを購入できる投資家の投資余力が少なくなる

投資家の投資余力が少なくなり、中古マンションの購入意欲が削がれる可能性が高いです。中古マンションを購入する層は株式、債券など他の金融資産も保有しているケースが多いです。東京オリンピックの延長の影響や昨今の景況感の悪化の影響が大きく、株式市場は下落傾向にあります。

2020年1月17日には24,115円だった株価が2020年3月19日には16,358円まで下落しており、株式市場は不安定な状況が続いています。株式市場のみならず、金融商品は軒並み相場が下落しており、投資家の投資余力が少なくなっています。そのため、中古マンションに投資するだけの投資余力がないという投資家も多くなってくることが予想されます。

景況感の悪化により需給バランスが悪化

景況感が悪化して、需要が減少することも中古マンションの相場が下落する要因の一つとなります。2020年に発表したIMF(国際通貨基金)の世界経済の見通しによると2020年の世界GDPは－3.0%、日本GDPは-5.2%と1929年の世界恐慌依頼の下落幅となっています。不動産を購入できるだけの経済力がある人が減少することにより、需要が減少する事が予想されます。

さらに、選手村の再開発を担当している「HARUMI FLAG」は計4,000戸以上のマンションを住宅として供給する予定でしたが、2020年3月下旬に予定されていた販売は延期され、今後の販売再開も未定となっています。需要が減少している中、多数のマンションの販売が延期されているため、マンションの供給過多で不動産相場が下落する可能性が高いでしょう。

中古マンション相場が下落したら購入しやすくなる

このように中古マンション相場は今後下落する可能性が高いです。とはいえ、過度に悲観する必要はなく、投資家にとってはチャンスの状況であるといえるでしょう。中古マンション投資家にとってチャンスと言えるのは2つの理由があります。

短期的には東京オリンピックの延期による不安感から中古マンションの価格は下落する可能性は高いです。しかしながら、中長期的にはインフレにより中古マンションの価格が上昇する可能性も高いと見ています。理由は世界的な不況により中央銀行の金融緩和がさらに強化されるためです。

中古マンションなどの不動産はインフレに強い資産で、物価が上がると中古マンションの価値も上がります。そのため、東京オリンピック延期で中古マンションの価格が下落した場合、中長期的に見た時に投資家にとって最大のチャンスとなりうるでしょう。

どこのエリアのマンションを買うべきかは、オリンピック後でも中古マンションの価値が下がらないエリアで解説しています。

東京オリンピックの延期はチャンス！

東京オリンピックの延期によって、中古マンションの価格は下落する可能性が高いです。しかしながら、中古マンション投資家にとっては手頃の価格帯で物件を購入できるため、規模を拡大させるチャンスともいえるためです。短期的な視点で投資を控えるのではなく、中長期的に見て投資を検討してみることも重要です。専門家と相談しながら、適切な投資タイミングを見計らってみましょう。

これから中古マンション投資を始めようという方は下記の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

追記：2020年11月26日に発表された住民基本台帳人口移動報告によると東京都からは転出が増える一方で、埼玉・千葉・神奈川など東京都に隣接している県の転入が増えています。

コロナの影響で地方移住が進むという意見もあります。しかし2020年10月時点では、東京からの転出は増えてはいるものの、東京圏の移動にしかなっていない可能性があります。

また沖縄・福岡・北海道などは転入が増えており、リゾートワークなどに興味関心が高まっている可能性がありますね。地方移住に関心がある方は下記の記事をご覧ください。