多くの不動産オーナーの悩みの種である空室リスクは、不動産投資最大のリスクといっても過言ではありません。
また、入退去に際して修繕や募集などの費用がかさむケースもあるため、『1日でも早く次の人に入ってほしい』『できる限り長く住んでほしい』と望む不動産オーナーが多いのです。
今回の記事では、不動産投資の空室リスクを減らすコツをご紹介します。
空室リスク対策は本来不動産購入前に行うのが望ましいですが、既に不動産を購入してしまった方もご安心ください。
不動産購入後でもできる空室リスク対策もご紹介します。
今回の記事を読んで、空室リスク対策を行っていただくことで、安定した家賃収入を受け取れる可能性が高まるでしょう。
なぜ空室リスク対策が必要なのか?
不動産投資を行う上で、空室リスク対策は必須と言えます。その理由は、主に以下の3つです。
- 空室率の現状
- 少子高齢化の影響
- 空室リスクのダメージの大きさ
では、それぞれについて解説します。
1 空室率の現状
日本銀行が半年に1度作成している金融システムレポートによると、2020年の首都圏の空室率は約8%、他の地域の空室率を見ても、関西圏約6%、その他の地域約8%と、いずれ決して軽視できない数値です。
出典:https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr210420a.pdf
2 少子高齢化の影響
日本は少子高齢化の影響により、既に人口の減少が始まっています。
その影響で、将来的に不動産に入居してくれる人も減り、空室リスクも高まると考えられています。
3 空室リスクのダメージの大きさ
空室リスクのダメージの大きさは、他の利回りを悪化させる要因である家賃下落、金利上昇と比べて大きい傾向があります。
実際どのくらい大きいかというと、先述の通り首都圏の平均的な空室率は約8%。
それに対して、金利の上昇幅が8%以上になることは通常考えられませんし、家賃が一気に8%下がること(10万円→9万2000円)も滅多にないでしょう。
つまり、数ある不動産投資に関わるリスクの中でも、空室リスクが最も対策が必要だといえます。
空室リスクを下げるために不動産購入前に確認しておきたい4つのこと
そこで、空室リスクを下げるために不動産購入前に確認しておきたいことを4つご紹介します。
- 需要の高い立地か
- 競合となる物件がどの程度あるか
- 物件の家賃は周辺と比べて高くないか
- 物件の管理状況は適切か
不動産購入前にこれらを確認しておくことで、不動産購入後に後悔する可能性が低くなるでしょう。
では、それぞれについて解説します。
需要の高い立地か?
不動産投資を行う場合は、需要の高い立地にある不動産を購入しましょう。
なぜなら、需要の高い立地であるほど入居者が集まるため、空室リスクが低いからです。
不動産は字のごとく動かせませんから、立地選びは非常に重要なのです。
競合となる物件がどの程度あるのか?
次に、不動産投資で購入を検討している不動産の近隣に競合となる物件がどの程度あるのかも確認しましょう。
いくら需要の高い地域の物件でも、競合となる物件が多すぎると入居者を奪い合うことになり、空室のリスクが高まる傾向にあるからです。競合が多くても、供給よりも需要が上回っていれば空室のリスクは低いですが、供給過多の場合そのようにもいきません。
あまりにも競合となる物件が多い場合は、競合に勝つために不動産オーナーにとって不利な条件で部屋を貸し出さなければいけなくなることもあります。その結果、利回りが悪くなったり、管理のコストが増大したりします。
競合が多くて勝てそうにない場合は、その地域は避けた方が良いでしょう。現時点で競合がそれほど多くなくても、良い地域なら今後競合が増えてくる可能性があります。
よって、近隣の建設計画もよく確認しておきましょう。
物件の家賃は周辺と比べて高くないか?
不動産投資で購入を検討している物件の家賃が、周辺の物件と比べて高くないかどうかも確認項目のひとつです。
当然ですが、物件を探している人は同じような物件であれば家賃が安い方を選びがちです。
よって、相対的に家賃の高い物件は空室リスクが上昇します。
よほど周りの物件と差別化できる何かがあれば話は別ですが、もしなければ、その地域の家賃相場よりも大幅に高い物件は避けた方が良いでしょう。
また、想定利回りを鵜呑みにせず、不動産オーナー自身で物件や周囲の環境を調査した方が良いでしょう。
調査結果によっては、想定利回りよりも大幅に利回りが悪くなりそうという判断に至るかもしれません。
こればかりは、しっかりと手間をかけて調査してみないとわからないことですが、安定した家賃収入を得るためには確認しておくべきポイントです。
物件の管理状況は適切か?
不動産投資で他のポイントと比べると見落としがちなのが、物件の管理状況です。
物件が汚れていたり、周りにゴミが散乱していたりすると、印象が良くないため、空室リスクが高まる危険性が増します。
遠方にお住まいだと難しいかもしれませんが、極力内見するなどして物件の管理状況を確認してから購入されることをおすすめします。
特に、不動産のホームページに掲載されている写真と実物が全然違うということは珍しくありません。
また、見た目の綺麗さだけでなく、騒音や治安なども要注意ポイントです。入居者の質が悪いと、共有部が散らかりやすくなるだけではなく、綺麗に住んでもらえない危険性も高まります。
入居者のモラルを測るという意味でも、共有部や物件の周辺を見て回ることは非常に意味のあることなのです。
不動産購入後でもまだ間に合う!空室リスクを下げるために検討したい4つのこと
不動産購入後も空室リスクを軽減させるためにできることはあります。それが、以下の4つです。
- 募集時に特典を付ける
- 管理会社を変える
- リノベーションを行う
- サブリースを検討する
では、それぞれについて解説します。
募集時に特典を付ける
「競合が多い地域の物件を購入してしまった・・・。」
そのような場合は、募集時に特典を付けて、他の物件との差別化を図りましょう。
そうすることで、不動産オーナーであるあなたの所有している物件を選んでもらえる可能性が高くなり、空室リスクが軽減されます。
例えば、即入居なら家賃減額に応じたり、1ヶ月分だけ家賃を無料(フリーレント)にしたり、敷金礼金を減額したり、家具を付けたりするなど、できることは多くあるでしょう。
物件を探している側としても募集条件は重要で、初期費用が節約できるとありがたいと考えがちです。
どのような特典を付けるか決める時も、競合の調査が重要です。
管理会社を変える
入居率が良くない状況が続きているのであれば、管理会社を変えるという選択肢もあります。
募集や管理の方法は管理会社によって異なります。
例えば、管理会社にトラブルが起きた時になかなか対応してもらえないと、入居者が不満を理由に引っ越してしまうかもしれません。
管理会社により管理費用は異なりますが、いくら費用が安くても管理がずさんだと入居者が逃げて空室リスクが高まる危険性がありますし、一方で数%管理費が高くても、募集時に工夫をしてくれて家賃が上がったり、トラブル時に迅速な対応をしてくれたりすることで、十分元を取ることができる場合もあります。
管理会社のコストを削減しようとするあまり、空室リスクが高まり、結果的に不動産オーナーにとって大きな損失を出してしまっては、不動産投資として本末転倒です。
管理会社選びは妥協しないようにしましょう。
リノベーションを行う
仮に不動産オーナーが所有する物件が古かったとしても、リノベーションを行い、それを募集時にアピールすれば、入居者が集まりやすくなる場合があります。
もし資金があるのなら、リノベーションを行うのも不動産投資としては良い選択でしょう。
仮に潤沢な資金がなくても、10万円以下でできるプチリノベーションもあります。
例えば、アクセントクロスを貼ったり、テレビモニターフォンを設置したりするだけでも内見者が受ける印象が大きく変わり、空室リスクが軽減された事例も多く存在します。
サブリースを検討する
そもそもサブリースとは、不動産管理会社に不動産のオーナーから物件を一棟丸ごと借り上げさせ、それを入居者に転貸(又貸し)させることです。
サブリースのメリットは、空室の有無にかかわらず、不動産管理会社が賃料の80~90%を保証してくれること。つまり、家賃収入が一定になることが最大のメリットなのです。
また、管理業務も丸投げできるので、管理の手間も省けるでしょう。
一方で、サブリースのデメリットは、収益性が低いこと。
確かに賃料の保証はされますが、仮に物件が満室になったとしても賃料の80~90%しか手に入りません。
よって、不動産投資の利回りは安定しますが、その分家賃収入が減ってしまうのです。
例えば、便利な立地にある築浅のマンションなど、空室率がサブリースの料率以下になる可能性が高い場合などは、サブリースを検討する必要性は低いでしょうし、逆に入居が決まりにくい物件をお持ちで、利回りが低くても安定性を重視したい方は、サブリースを検討しても良いでしょう。
まとめ
以上、不動産投資の空室リスク対策についてお話しました。
不動産投資で安定した収益を得るためには、今回お話してきたような空室リスク対策が必須です。
ぜひ今回の記事を参考にしていただければと思います。
もしまだ不安がある方や、より不動産投資に関する知識を付けたい方は、初心者不動産オーナー向けのセミナーに参加するなどして勉強されるのもおすすめです。