区分マンション投資における管理とは

「マンションは管理を買え」と言われるようにマンション投資が成功するか否かは管理の良さに関わってきます。この記事ではマンション投資における管理について詳しく解説しています。

建物管理と賃貸管理は違う

区分マンション投資の管理には、建物管理と賃貸管理があります。

建物管理

区分マンションの建物管理は、管理組合で行うことになっており、管理組合が清掃などの日常業務の手配や大規模修繕等の計画・実施を行う必要があります。

管理組合が直接行うことを自主管理、業務を建物管理会社に委託することを委託管理と言います。

賃貸管理

賃貸管理は、マンションの1室を賃貸管理会社に管理を委託することになります。賃貸管理では、委託された1室について、賃貸の募集や契約業務、家賃の徴収、クレーム対応などを行います。

1棟のマンションであれば、賃貸管理会社に管理を依頼するとなると、建物管理も賃貸管理もすべて任せることになりますが、区分マンションでは、建物管理はマンション全体の管理業務と賃貸管理は1室の管理業務と分けて考える必要があるという訳です。

 

建物管理業務とは

建物管理業務は4つに分類することができます。

建物管理業務は大きく分けて4つ
  • 事務管理業務
  • 管理人業務
  • 清掃業務
  • 建物・設備管理業務

 

事務管理業務

管理費・修繕積立金の集金、滞納のチェックを行う基幹事務と理事会や総会の開催、運営などを行います。

 

管理人業務

管理組合又は建物管理会社と契約した管理人が、マンションの駐輪場、駐車場などの受付業務やマンション内の巡回、トラブルへの対応業務などを行います。

管理人の契約には、週5日など決まった曜日にマンションへ通勤する日勤方式と複数のマンションを掛け持ちし、週1〜2回訪問する巡回方式があり、小規模のマンションでは、管理人を置かない場合もあります。

 

清掃業務

共用部分について、日常清掃と年数回の機械などを使った定期清掃を行います。

 

建物・設備管理業

設備のメンテナンスを行い、状況に応じて補修、取替え、更新を行う業務で、エレベーターや機械式駐車場などが代表的です。これ以外にも長期修繕計画に基づいて、外壁工事や屋上防水、給排水管の交換などの大規模修繕工事が行われます。

 

自主管理と委託

マンション購入を考えている場合、自主管理か管理会社に委託しているか確認しましょう。

    自主管理方式

    管理組合がすべての建物管理業務を行います。日常清掃業務や設備のメンテナンス契約等も管理組合と業者で直接契約を行います。

    注意
    自主管理物件は注意が必要です。なぜなら、管理組合がしっかりしていないと管理が上手くいっていないケースが多いからです。最近ではマンション内の高齢化が進み、自主管理物件の場合は管理組合の役員を出来る人が減っているケースも多く、上手く機能していない管理組合も増えています。

    機能していない管理組合の場合、管理費や修繕積立金の滞納が放置されて運営資金が集まらず、清掃業務、建物・設備管理業務にお金を掛けることが出来ません。

    そうなると共用部分は汚れ、大規模修繕を行うことが出来ずに、外壁がボロボロ、設備の更新や交換も出来ない状況で、マンションの劣化が進み、資産価値を大きく下げることになります。

     

    全部委託方式

    管理組合がすべての建物管理業務を管理会社に委託します。費用は掛かりますが、管理会社が計画的に事務管理業務、管理人業務、清掃業務、建物・設備管理業務を行ってくれるので、住民への負担が少なく、建物がきちんと管理されている物件が多いです。

     

    一部委託方式

    事務管理業務のみ、もしくは建物・設備管理業務のみなど一部の建物管理業務を管理会社に委託します。管理組合が一部業務をする必要があるので、採用されているケースは少ないです。

     

    収益物件を取り扱う不動産業者の中には、自主管理物件は紹介しないという業者もあります。管理状態が悪いと、修繕積立金を値上げされる可能性もあるので気を付けましょう。

    管理状態を確認

    自主管理か委託かに問わず、管理状態は現地で確認した方が良いです。

    確認するポイント
    • 共用部分の清掃状態
    • 外壁の劣化具合や設備の稼働状況

      一目見るだけで状態が悪いと分かるマンションは、管理にお金を掛けることが出来ていない証拠です。収益物件の場合は、大阪の人が東京の物件をといった遠方の物件を購入とも多いので、すべての物件を見に行くということは難しいかもしれません。そのような場合は、出来るだけ細かく不動産業者に写真を撮ってもらう、もしくは実際に物件を見て状況を報告してもらうといった対応が必要です。

       

      重要事項調査報告書をチェック

      重要事項調査報告書では、修繕積立金の積立額と大規模修繕の実施状況をチェックすることが出来ます。

      重要事項調査報告書に記載されていること
      • 部屋の管理費
      • 修繕積立金の金額
      • 滞納状況
      • マンション全体の会計
      • 大規模修繕の実施状況

      特に、前回いつ大規模修繕工事が実施されたかと修繕積立金の積立金額は重要で、大規模修繕が10年以上も行われていないのに、修繕積立金が数百万程度しかないマンションの場合は要注意です。

      注意
      このようなマンションは今後、大規模修繕工事が行えない可能性があり、工事を行うにあたって修繕積立金の値上げや特別徴収される可能性が高くなります。

      築年数が古く管理状況の悪いマンションの中には、住民がほとんど住んでおらず、管理費・修繕積立金が集められずに、共用部分の壁が剥がれたり、天井が落ちても工事が出来ずに廃墟化しているマンションもあります。

       

      管理次第で物件価格は変動する

        個人で住宅用としてマンションを購入する際に、管理状態の悪い物件は避けたいと思うように、収益物件の場合も当然管理状態が悪い物件は敬遠されます。

        収益物件として区分マンションを購入する場合、保有期間中の収益も大事ですが、売却時の価格がいくらになるかでトータルの収益は大きく変わります。いくら利回りの良い物件でも、管理状態が悪ければ、価格は大幅に下落し、最悪の場合は購入者が現れないケースもあります。

        逆に、管理状態が良いマンションであれば、築年数が経っていても建物を良い状態で保っているので、売却時にも相場より高値が付きやすくなります。

         

        管理を考えて物件を選ぶ

        区分マンション投資では、保有期間中の収益も重要ですが、最終的に売却することで利益が確定しますので、売却時に大きく資産価値が下がってしまうような物件だと最終的には損をしてしまうことになります。失敗しないためには、資産価値が下がらない、建物管理状態の良い物件を選ぶことが重要になります。

        地震や台風など昨今では天災も多く、100%安全という物件はないかもしれませんが、投資家として収益物件を買うのであれば、最初から損をするような物件を選ぶのは得策ではありません。

        区分マンション投資で成功するためには、今回ご紹介したように、まずは建物の現状を確認し、重要事項調査報告書等で建物管理がしっかり行われているかを把握し、資産価値の下がりにくい物件であることを見極めることが重要です。

        「マンションは管理を買え」と言われますが、マンションの資産価値を保つのは管理が握っていると言っても過言ではありません。

         

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