この記事では中古マンション投資で節税に失敗する4つの理由について解説しています。節税に失敗したくないという人は最後まで読んで、中古マンション投資を成功させましょう。
中古マンション投資で節税になる仕組み
中古マンション投資において節税になる仕組みは大きく分けて2つあります。
- サラリーマンの場合、中古マンション投資で赤字を作る
- 現金ではなく中古マンションで相続する
減価償却費で赤字を作る
サラリーマンの場合、中古マンション投資で赤字を作ることによって、所得税・住民税の還付を受けることが出来ます。中古マンション投資で作る赤字とは、実際に損をするのではなく、税務上の損失を作るということです。
中古マンション投資の場合、お金がかからず経費に算入できる減価償却という科目があります。
- 給与所得は500万円、課税所得は240万円
- 建物価格1,000万円の中古マンションを購入
- 賃料は年間80万円
- 減価償却費は年間40万円
- その他の経費は70万円
この場合は手元に残る不動産収入は賃料から経費を除いた10万円ですが、決算上の不動産収入は実際の収入から減価償却費を除いたは30万円の赤字となります。
不動産収入を考慮しなければ、所得税が(240万円×10%)-9.75万円=14.25万円、住民税が240×10%=24万円で計38.25万円の所得税・住民税を支払う必要があります。(参照:国税庁 所得税の税率 総務省 住民税の税率)
中古マンション投資による30万円の赤字を給与所得に通算することで、課税所得を240万円-30万円=210万円にすることができます。そのため、所得税は(210万円×10%)-9.75万円=11.25万円、住民税は21万円で計32.25万円になります。このケースの場合、現金収入は10万円増えており、なおかつ6万円の節税が出来たことになります。
このように中古マンション投資は減価償却費という特殊な経費があるため、節税しながら、現金収入もできるという仕組みがあります。
減価償却についての詳細は下記の記事で解説しています。
中古マンションを相続する
現金ではなく、保有しているマンションなどの不動産を相続することで節税になる仕組みがあります。なぜなら、土地やマンションなどの不動産は時価よりも低い価格で相続時に評価されるためです。
- 土地の相続税評価額・・約80%(賃貸している場合約60%)
- 中古マンションの相続税評価額・・約70%(賃貸している場合約50%)
(※詳細な計算方法は国税庁 土地・家屋の評価 国税庁 貸家建付地より)
例えば、実際に販売すると土地2億円、中古マンション2億円の価値がある場合、相続税評価額は土地が約1億2,000万円、中古マンションが約1億円となります。現金で相続するよりも評価額を1.8億円も下げることができました。
このように中古マンションでの節税は相続時にも高い効果を発揮します。
不動産投資で節税が失敗する4つの理由
不動産投資における節税は一見するとお得に見えます。しかしながら、実際は節税目的で中古マンション投資をすると失敗するケースがほとんどです。
- 2年目以降は赤字になりにくい
- 赤字経営が続くと、融資が受けにくくなる
- 売却時に多くの税金がかかる
- 相続税対策の場合でも、中古マンション経営に失敗すれば負債になることも
2年目以降は赤字になりにくい
中古マンション投資の場合、2年目以降は赤字が出にくいため、節税がしにくくなります。1年目は中古マンションの購入にかかる経費が多いため、赤字が出やすく節税しやすいです。
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 仲介手数料
一方で、2年目以降は経費にできる費用が少ないです。
- 減価償却費
- 借入金の金利
- 固定資産税
初年度と比較して、2年目は経費に出来る費用が減るため赤字になりづらいのです。
2年目以降も赤字になる場合は、中古マンション経営がうまくいっていない可能性があります。節税効果があるのは最初の1年だけと考えておいた方が良いでしょう。
赤字経営が続くと、融資が受けにくくなる
サラリーマンの給与を中古マンション投資による赤字で相殺する場合、銀行からの融資が受けにくくなります。中古マンション投資の決算が赤字になるため、銀行は融資に消極的になるためです。
銀行は原則として、複数年連続して赤字が出ている個人事業主や法人に対する融資の審査は厳しくチェックします。赤字が出ていることで、経営状況が悪く融資を回収できる見込みが低いと見られてしまうためです。
融資が受けにくくなることで、中古マンションを複数所有して規模を拡大することが難しくなります。中古マンション投資は複数の物件に投資しなければ、高い収益を上げることは難しいので、投資するメリットが小さくなります。
売却時に多く税金がかかる
減価償却費による節税は売却時に多額の税金がかかります。
- 課税譲渡所得=譲渡価格-譲渡費用-取得費(取得費は購入価格-減価償却費で計算)-特別控除
- 5年以内に売却した場合・・課税譲渡所得×20.315%
- 5年以上で売却した場合・・課税譲渡所得×39.63%
(※参照 国税庁 短期譲渡所得の税額の計算 長期譲渡所得の税額の計算)
取得費の中に減価償却費が含まれるため、実際の譲渡所得は大きくなり、売却時に多額の税金がかかります。
例えば建物価格2,000万円、土地価格1,500万円の中古マンションを11年後に売却するとします。購入価格と同じ価格の3,500万円で売却し、10年間の減価償却費が550万円だった場合、税金は下記の通りとなります。(※譲渡費用と特別控除をゼロと仮定)
- 課税譲渡所得・・3,500-(3,500-550)=550万円
- 税金・・550×20.315%=約112万円
つまり10年間減価償却費で節税しても、売却時に減価償却費分の税金がかかります。中古マンションの売却時は分離課税となりますので、節税の余地もありません。売却時の減価償却費を考慮せず、多額の税金がかかってしまったというのも代表的な節税の失敗例です。
譲渡所得の税金を抑える方法に関しては下記の記事で解説しています。譲渡時に出来ることではないので、あらかじめ把握して対策しておきましょう。
相続税対策も経営が上手くいかなければ負債になる
相続税対策で中古マンションを購入する方も多いです。しかしながら、中古マンションを相続したとしても経営がうまくいかなければ、節約した税金以上に損をすることもあります。中古マンションで相続する場合、現金を相続するのとは異なり、毎年マンションの維持費用がかかります。
- 固定資産税
- 都市計画税
- 管理費
- 修繕積立金
さらに定期的な大規模修繕も行う必要があり、マンションを保有しているだけでも多額の費用がかかります。節税目的でマンションに投資するだけでなく、マンション経営で損が出ないようにしっかり考えましょう。
維持費に関しては下記の記事で詳しく解説しています。
節税は専門家に相談を
節税だけを目的とした中古マンション投資は失敗しやすいです。しかし、中古マンション投資は節税として有効な手段であるのも事実です。
- 節税目的で中古マンション投資をはじめたいけど、複雑でわかりにくい
- 自分は中古マンション投資で節税できるのかしりたい
という方はまずは専門家に相談してみましょう。
- 実際に数年先における節税効果のシミュレーションができる
- どのくらい節税効果があるのかを明確にできる
中古マンション投資の節税で失敗しないように、一度専門家に相談してみましょう。
- 中古マンション投資で実際に損をしなくても減価償却費で税務上の損失を作れる
- 相続で不動産は、現金よりも20%から50%安く評価される
- 節税効果が期待できるのは初年度だけで、2年目以降はあまり期待できない
- 節税のし過ぎで赤字経営が続くと、金融機関からの融資が受けづらくなる
- 売却時には減価償却費の分だけ税金がかかる
- 相続税対策でも、経営が上手くいかなければ節税以上に損をする可能性がある
節税に関しては下記の記事で重要なポイントを解説しているので、余分な税金を払いたくないという方は、ぜひご覧ください。