重要事項説明はとても長い間、難しい言葉を使いながら説明を受けます。そのため、話を聞いているうちに疲れてしまう気持ち、わかります。この記事では中古マンションの重要事項説明で特に確認すべきことを3つに絞って解説します。もちろん、それだけでトラブルを全て避けられるわけではありませんが、どれだけ疲れてしまっても目を光らせるべき3つのポイントはしっかり把握しておきましょう。
重要事項説明とは何か
重要事項説明とは、マンションなどの不動産に関する重要なことを、宅地建物取引士が買主に説明することです。これは宅地建物取引業法で定められているので、不動産の売買時は必ず行わなければいけません。
投資用の中古マンションを購入する際も重要事項説明を受け、その内容に納得した上で売買契約を締結します。また、売買契約を締結する前に重要事項説明を受けるので、その内容によっては売買契約を結ばないという判断も可能です。
不動産購入時には必ず受ける説明であり、かつ重要な説明なので、購入者の立場でしっかりと内容を把握しておきましょう。
重要事項説明の目的
重要事項説明の目的は、売買契約前に買主が「購入する不動産に関する重要事項を把握すること」です。というのも、不動産は宅地建物取引業法や民法という法律に則って売買契約を結ぶため、説明を受けないと分からない規制やルールがあります。
また、周辺環境や建物に関することなど、その不動産を購入するにあたり「知っておくこと」がたくさんあるのです。そのため、宅地建物取引士がきちんと説明する時間を設け、契約後にトラブルがないようにしています。
ただ、そもそも物件の重説を受ける前に、買主は仲介する不動産会社から物件説明を受けています。その説明を受けているので、売買契約を結ぶかどうかに関わるような重要事項は、事前に聞いていることがほとんどです。
そのため、重要事項説明は「改めて説明する」という側面と、「説明しきれていない細かいことを説明する」という両方の側面があります。このような背景から、売買契約当日に重要事項説明を受けて、「こんな重要なこと聞いていない!」と売買契約を結ばないケースは極めて少ないです。
重要事項説明の流れ
重要事項説明の流れは売買契約と一緒に覚えておくと良いでしょう。というのも、一般的に重要事項説明は売買契約当日に行うからです。売買契約当日の流れは以下になります。
- 宅地建物取引士から重要事項説明を受ける
- 質疑応答
- 重要事項説明の受領書に署名および捺印
- 売買契約の締結
重要事項説明は宅地建物取引士しかできないので、宅地建物取引士証の提示を受けてから重要事項説明を受けます。重要事項説明の時間は物件や宅建士によっても異なりますが、大体1~2時間程度です。
重要事項説明の内容に関して質問があれば、その場で宅建士に質問し宅建士が回答します。その回答に納得することができ、重要事項説明の内容に問題なければ、重要事項説明を受領した(説明を受けた)という証明のために受領書に署名・捺印をします。そして、最後に売買契約を締結するという流れです。
当日スムーズにやり取りするために、可能であれば重要事項説明を前もって受け取っておくと良いです。その重要事項説明を売買契約日までに読んでおき、疑問があればチェックしておきます。そうすれば、重要事項説明の内容も理解しやすいですし、質問事項も整理されています。
重要事項説明書の内容
重要事項説明は大きく分けて3つの項目に分かれます。
- 取引物件に関すること
- 取引条件に関すること
- その他重要事項
まず、「取引物件に関すること」は登記やインフラ(電気・ガス・水道)に関すること、私道負担の有無や共用部(エントランスやバルコニーなど)の規約に関することです。要は、その物件を購入するにあたり、オーナーや入居者が知っておかないと不利益を被ることを説明しています。
「取引条件に関すること」は、物件価格や手付金、権利(所有権や抵当権)に関すること、瑕疵担保責任に関することになります。売買契約を締結する前に確認すべき「取引条件」を抜粋したような内容です。
「その他重要事項」とは、国土交通省が定める事項や、売主・買主どちらかが不正を行ったときなどの対応が書かれています。
これら3つの事項は物件によって書かれている内容は異なるものの、大きく分けると取引物件・取引条件・その他重要事項の3つが重説の内容です。
重要事項説明で確認すべき3つの内容
重要事項説明に書かれていることは全て重要なことですが、特に意識して確認すべきことが3つあります。
- ローン不成立時の対応
- 手付金の保全措置
- 瑕疵担保責任の期間
ローン不成立時の対応
ローン審査が金融機関に否決されたときは、「違約金が発生する」ケースと、「白紙で契約の解除がされる」ケースの2通りあります。一般的に、自分で融資を引っ張ってくれば前者となり、仲介会社が斡旋した金融機関でローンを組めば後者となりますが、この点は重要事項説明に盛り込んであるので確認しましょう。
手付金の保全措置
中古マンションを購入する際は、売買契約時に売買代金の一部を手付金として支払います。その手付金額が1,000万円以上、もしくは売買代金の10%超の場合には、不動産を仲介する不動産会社は手付金の保全措置を講じなければいけません。要は、手付金を補償するということですが、この旨も重要事項説明に記載されているので確認しましょう。
契約不適合責任の期間
契約不適合責任とは、売主が瑕疵(建物)に関して、引渡し後も補修などの責任を負うことです。つまり、買主からすると契約不適合責任が長いほど保証期間が長くなります。
契約不適合責任の期間は売主・買主合意の元で決め、一般的には3か月~1年程度でしょう。契約不適合責任の期間は口頭で合意して重要事項説明に反映されるので、きちんと口頭でいった期間に設定されているか確認する必要があります。
これら3つのことを確認しておくだけでも、多くのトラブルが避けられます。
告知書とは
告知書とは、売主にしか分からない過去の修繕履歴や瑕疵について、重要事項説明とは別に用意する書類です。告知書は「物件状況確認書」や「付帯設備書」と兼用するケースが多く、具体的には以下のような項目があります。
- 建物について
-雨漏りの有無
-建物の傾きや不具合などの有無
-給排水設備の故障や修繕履歴
- 設備について
-水まわり設備の有無と不具合の有無
-空調設備の有無と撤去するかどうか
-その他付帯機器の故障など
重要事項説明をすることは不動産売買時の義務ですが、告知書は義務づけられていません。ただ、最近の中古マンションでは、リスクヘッジのために告知書を売主に記載してもらうケースが多いです。そのため、仮に告知書について話がなければ、買主からは仲介する不動産会社の担当者に指摘して作成してもらった方が良いでしょう。
重要事項説明は大事
重要事項説明はトラブルを避けるためにも、最初から最後までしっかり確認してください。しかし、疲れてしまい集中力が持たない場合は、以下の3項目についてだけでも確認を怠らないようにしましょう。
- ローン不成立時の対応
- 手付金の保全措置
- 契約不適合責任の期間
重要事項説明を受けて契約が済んだら、次に考えることはマンションの管理についてです。自分でやるのか、業者に任せるのかなど、管理の具体的な業務内容は下記の記事で解説しています。
追記:2020年4月に民法改正でマンションの売買で気を付ける点が変わりました。詳細は下記の記事で解説しています。