一棟不動産投資と区分不動産投資の違い
まず、一棟不動産投資と区分不動産投資のそれぞれの内容についてお話します。
一棟不動産投資はアパートやマンションなどの物件を一棟丸ごと買い運用することで、区分不動産投資は一棟丸ごとではなく数部屋など物件の一部を買って運用することです。
次に、一棟不動産投資と区分不動産投資の違いを表にまとめました。
一棟不動産投資 | 区分不動産投資 | |
価格 | 高い | 安い |
初期費用 | 高い | 安い |
利回り | 高い | 低い |
修繕などコスト | 高い | 低い |
管理の手間 | 手間がかかる |
手間がかからない
|
流動性 | 低い | 高い |
資産価値の下落しやすさ | 下落しにくい | 下落しやすい |
節税効果 | 高い | 低い |
細かい内容や、どちらの方があなたに向いているかは後ほどお話します。
一棟不動産投資のメリット・デメリット
一棟不動産投資にはどのようなメリット・デメリットがあるのか、1つ1つ解説していきます。
一棟不動産投資のメリットとは?
一棟不動産投資のメリットは、以下の6つです。
1.スケールメリットを活かせる
ものは一度に大量に買うとスケールメリットによって単価を安くすることができますが、不動産投資の場合も同じです。
例えば、1室1,000万円の区分アパートと1棟10室7,000万円の一棟アパートであれば、トータル金額は後者の方が高額ですが、1室あたりの金額は後者の方が700万円と安くなります。
2.利回りが高い
利回りは、区分不動産投資よりも一棟不動産投資の方が平均1~2%高くなるのが一般的です。
3.融資が受けやすい
一棟不動産投資は、同じ金額であれば、区分不動産投資よりも融資が受けやすい傾向にあります。なぜなら、建物と比べて圧倒的に価値の下がりにくい土地を担保にできるからです。
4.売却価格が高い
価値の下がらない土地の評価が売却価格に反映されるため、一棟不動産投資の場合、売却価格が高くなる傾向があります。
5.一部屋当たりの空室リスクが低くなる
例えば、1室しか所有していない場合、入居者がいなければ家賃収入は0円になってしまいますが、10室所有している場合は、2室空きがあっても8割の家賃収入を確保することができます。先述のスケールメリットの影響で、同じ金額でも一棟買いの方がより多くの物件を持つことができるため、1部屋当たりの空室リスクを軽減することができるのです。
6.出口戦略の自由度が高い
一棟不動産投資の方が、売却価格を自由に決めることができます。
区分不動産投資の場合、大規模修繕や建て替えは簡単にできないため、一般的な出口は持ち続けるか売却するかのいずれかですが、一棟不動産投資の場合は建て替えや用途変更なども自由にできるからです。
一棟不動産投資のデメリットとは?
一棟不動産投資のデメリットは、以下の3つです。
1.初期費用が高い
当然ですが、物件の数部屋を購入するよりも、一棟丸ごと購入した方が高価となり、物件価格の数十%を頭金として入れることが一般的です。
2.管理の手間がかかる
管理組合が存在せず、重要事項については自分で判断しなければならないため、一棟不動産投資は、管理の手間がかかります。
3.流動性が低い
売買されている物件数は区分不動産の方が多く、一棟不動産の方が高額であるため、一棟不動産を売るのには時間がかかると言われています。
一棟不動産投資に向いている人の特徴
不動産を一棟丸ごと購入するのにはかなりの金額を要しますし、投資は基本的に余剰資金でするものですから、もともとある程度経済的な余裕のある方でないと厳しいと思います。もちろん、入居者が集まらなかったときの赤字が大きいため、リスクの許容度も高くなければいけません。
ただし、事業として大きく投資したい場合は、一棟不動産投資で勝負に出るべきでしょう。
区分不動産投資よりも利回りが高いため、事業規模が大きいほど、また運用期間が長いほどその差額は大きくなります。
リスクを許容し、管理などの手間をかけられるなら、一棟不動産投資の方が大きく稼げるチャンスがあると言えるでしょう。
区分不動産投資のメリット・デメリット
一棟不動産投資と同様に、区分不動産投資にもメリット・デメリットがあります。
では、これらを一つひとつ見ていきましょう。
区分不動産投資のメリットとは?
区分不動産投資のメリットは、以下の4つです。
1.初期費用が安いので小さく始められる
物件を一棟丸ごと買うよりも、区分所有した方がトータルの初期費用は抑えられます。
元手が少ない方や、いきなり大きく投資するのが怖い方にとってはメリットと言えるでしょう。
2.管理の手間が少ない
区分所有の場合、共有部の管理は管理組合が行い、専有部の管理は管理会社に任せることができるため、オーナーは清掃や修繕対応はしなくて良いので楽です。
3.流動性が高い
区分所有の方が、流動性が高く、売買がしやすい傾向にあります。
なぜなら、トータルの金額が物件を一棟買いするよりも単価が安く、投資家だけでなく実際に住む方の需要も期待できるためです。
4.リスクを分散させやすい
区分不動産であれば、購入する物件の場所や時期を分けて購入することができるため、災害や需要の変化によるリスクを軽減させることが可能です。
区分不動産投資のデメリットとは?
区分不動産投資のデメリットは、以下の2つです。
1.空室によるダメージが大きい
区分不動産投資は、一棟不動産投資の場合と比べ所有する部屋の数が少ないため、満室の場合に得られる利益に対して空き部屋が出た時の損失の割合が大きくなります。
例えば、1室しか区分所有していないにも関わらず入居者が来なければ、月々のローンや固定資産税などのコストが丸々赤字になってしまいます。
2.担保評価が低い
区分不動産投資の場合は、所有物件の担保評価が低い傾向にあります。
なぜなら、土地は時間が経っても劣化しないのに対し、建物は経年劣化するため将来的に価値が下がるからです。
区分所有の場合は土地分の評価が一棟よりも反映されにくいので、担保評価も低くなります。
区分不動産投資に向いている人の特徴
また、副業として不動産投資をしたい方にも、区分所有不動産投資をおすすめです。
なぜなら、管理の手間がかからないので、区分所有不動産投資なら本業で忙しくても手を出しやすいからです。
大きく稼ぐことは目的にしておらず、リスクは抑えて将来の年金程度の金額を稼げれば良いという方も、区分所有不動産投資の方が向いているでしょう。
様々な場所や時期に物件を所有し、災害などのリスクを分散させたい方にも、流動性の高い区分所有不動産投資が向いています。
団信を保険代わりにしたいという方も、区分不動産投資の方が手を出しやすいでしょう。
まとめ
一棟不動産投資と区分不動産投資にはこれまでお話してきた通り、それぞれメリットやデメリット、向き不向きがあります。あなたには、どちらが合っていそうでしたか?
今回お伝えした情報だけでは、判断しれないという方や、まだまだ不安が大きいという方は、
まずは初心者向けの不動産投資セミナー等に参加して勉強を始めてみるのがおすすめです。
不動産投資に関する知識をつけることで、よりあなたにとって相応しい判断が下せるようになるでしょう