中古マンション投資では築年数に応じて、確認すべきことが沢山あります。中古マンション投資を始めたばかりだと確認漏れがないか不安ですよね。この記事では築年数に応じて、どのようなことに注意すべきかを網羅しています。中古マンション投資を成功させたいのであれば、最後まで読んで築年数ごとの特徴をしっかり把握しておきましょう!
※当記事は2020年1月時点で換算した築年数で計算しています。
中古マンションで築年数別に注意すべきこと
中古マンション投資には、築年数ごとにリスクがあります。購入を検討する際には、以下のポイントを確認しましょう。
- 旧耐震基準(1981年6月1日以前)の建物ではないか
- 旧耐震基準の建物なら耐震診断結果はどうか
- 間取りや設備が古くないか
- 逆梁工法の建物か
- シックハウス対策に対応している建物か
それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
築年数37年以上の中古マンションは耐震基準に注意
1981(昭和56)年6月1日に建築基準法が大きく改正され、新耐震基準が施行されました。新耐震基準では震度6強~7程度の地震に対して、建物が倒壊しないことが基準となっています。
一方で1981(昭和56)年6月1日より前の耐震基準のことを、旧耐震基準といいます。旧耐震基準では、震度5強程度の地震に対して建物が倒壊しないことが基準となっていました。
新耐震基準以降の地震で大きな被害を受けたのは、旧耐震基準の建物がほとんどです。旧耐震基準では強度基準が低いだけでなく、建物の強度バランスや材料の粘り強さに関する規定がなかったからです。
1982年以降に建てられた建物でも、旧耐震基準が適用された建物である可能性があります。マンションの場合は工期が1~2年ほどかかります。1980年に旧耐震基準で認可を受け、竣工したのは1982年というケースもあるので注意しましょう。
- 1981年6月1日より前の旧耐震基準…震度5強程度の地震で建物が倒壊しないことが目的
- 1981年6月1日以降の新耐震基準…震度6強~7程度の地震で、建物が倒壊しないことが目的
築年数が37年以上の中古マンションはis値にも注意
旧耐震基準の建物が、新耐震基準以降の地震で大きな被害を受けたことを紹介しました。しかし、旧耐震基準の建物が必ずしも脆弱なわけではありません。
is値
建物の強度・靭性・バランス、経年劣化などの耐震性に関する要素を総合的に判断するis値という指標があります。is値は耐震診断によって算出されます。is値が0.6以上の建物は、震度6~7程度の地震に対して倒壊するリスクが低いとされています。
「is値が0.6以上の建物は安全」と言われている理由は、過去の地震被害に関する調査結果に基づきます。1968年の十勝沖地震と1978年の宮城県沖地震で、中破以上の被害を受けたのは全てis値が0.6以下の建物です。(中破とは、柱・梁、基礎などの構造体が地震によって損傷することです)
(参照元:耐震診断の基準(is値) 一般財団法人日本耐震診断協会)
耐震診断の費用
耐震診断は、外部の専門業者に依頼をします。マンションではかなりの費用がかかるため、個人で依頼をすることはありません。耐震診断を依頼する場合は、マンションの管理組合を通すことがほとんどです。
仮に、鉄筋コンクリート造で10階建て100戸程のマンション(延床面積3000平方メートル)を耐震診断する場合の費用は、300~750万円程になります。診断費用を個人で払うには高すぎますね…。
耐震診断の費用は、建物の構造や規模によって異なります。例えば、鉄筋コンクリート造で延床面積が1000~3000平方メートルの建物では1000~2500円ほど/平方メートルの費用がかかります。鉄骨造で延床面積が1000~3000平方メートルの場合は、1000~3000円ほど/平方メートルの費用です。延床面積とは、各階の床面積を合計した面積のことです。
(参照元:耐震診断料金(費用)の目安 一般財団法人日本耐震診断協会)
もし管理組合がis値を診断していたら必ず確認してください。is値が分からないのであれば、かかる費用を計算して管理組合と交渉してみましょう。
築年数が19年以内の中古マンションは逆梁工法に注意
2000年頃から普及した逆梁工法(ぎゃくばりこうほう)を採用したマンションには2つのメリットがあります。
- サッシが高く採光性に優れている
- 床・屋根が厚く遮音性が高い
順梁のマンションでは梁にサッシを取り付けるのですが、逆梁の場合は床や天井までサッシを伸ばせます。そのため高さのあるサッシを取り付けられるので、採光性がよく広い室内空間を作ることができます。
また、逆梁構造は屋根や床が順梁構造の建物より厚くなる傾向があります。通常の床や天井の厚さは15㎝ほどですが、逆梁構造の場合は18~20㎝ほどの厚さです。床や天井などが厚くなることにより、遮音性が高まります。
一方で逆梁工法を使用したマンションには2つのデメリットがあります。
- 地震に弱くなる
- 大幅なコストアップでマンション価格が割高になる
現在も逆梁工法は一般的ではありません。もし買おうとしているマンションが逆梁工法であった場合は避けた方が無難でしょう。
築年数が16年以上の中古マンションはシックハウス対策に注意
2003(平成15)年7月1日に建築基準法が改正され、シックハウス対策の規制が義務化されました。シックハウスとは、ダニやカビ、また建築材料による様々な健康障害の総称を指します。
- 天井・壁・床に使う板やパネル材などの建築材料に関する規制
- 塗料や接着剤などの内装仕上げ材に関する規制
- 24時間換気システムを義務化
建築材料と内装仕上げ材に関する規制では、シックハウスの原因になるホルムアルデヒドの放散量が制限されています。
また、2003年の法改正以降は、F☆☆☆☆(フォースター)の表示がある材料が使われています。☆の数が多いほどホルムアルデヒドの放散量が少なくなります。F☆☆☆以下の材料は使用を制限、または禁止されています。現在新築されている建物では、ほぼ全てがF☆☆☆☆の表示がある材料が使用されています。
また、24時間換気システムも義務付けられました。近年の住宅は、アルミサッシなどの登場によって気密性が高まっています。昔の木材や天然材料で建てられた住宅は自然換気ができていましたが、気密性の高い近年の住宅では自然換気ができないのです。 気密性の高い建物内にホルムアルデヒドを放出する材料を置いておくと、強制的に換気をしない限り有害物質の濃度が高まっていきます。有害物質を室内から排除するために、24時間換気が義務付けられたのです。
(参照元:経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由 株式会社三井住友トラスト基礎研究所)
シックハウス対策ができていないと別途リフォーム費用も考慮する必要があります。2003年以前の古いマンションを購入する場合は、必ず確認しておきましょう。
中古マンションは古い設備と間取りに注意
築年数の古いマンションでは間取りや設備が古く、女性からの人気がありません。ファミリーでの入居の場合、住宅の決定権は女性にあることが多く、古い間取りだと単身女性やファミリー層の借主が減少してしまう可能性があります。
しかし、空室のリスクを避けたいなら、古い設備のリフォーム、古い間取りであればリノベーションも検討するべきです。 具体的には、下記の間取りや設備が古いマンションには多く、女性には不人気です。
- キッチンが狭く、設備が古い
- 脱衣スペースがない、洗面所と浴室が一体になっている
- 在来工法の浴室(タイル貼りの床・壁や、ステンレスの浴槽)
- 洗濯機置き場が狭くドラム式洗濯機を設置できない
- 和室が多く、リビングが狭い
- 間取りの形がいびつである
- トイレが古く、ウォッシュレットや脱臭機能がない
- 段差がたくさんある など
上記の中でも、お風呂とキッチンのリフォームには、高額な費用がかかります。なぜなら、水回りの工事は材料費だけではなく、施工費用も他の工事に比べて割高だからです。また間取りや段差は、物件によっては変更できない場合があります。一方、和室はリフォームによって洋室に変更することが容易であるため、費用が高額になりづらいです。
- お風呂:50~150万円
- キッチン:20~150万円
- 和室から洋室:10~50万円
中古マンションを買う時はチェックを怠らないように
中古マンションは建築当時の人気や法律に基づいて建築されています。そのため現代では当たり前とされていることも、中古マンションの建築当時は当たり前ではないことも多々あります。思い込みではなく、一つ一つ確認してから買うかどうかを判断しましょう。
一つ一つ確認することが面倒だという方は、古い設備など目に見える部分を確認するだけで良い2003年7月以降に建築された中古マンションを選ぶと良いかもしれません。
買いたい中古マンションが決まったら少しでも安く買えるように準備しておきましょう。詳細は中古マンションの値引き交渉を成功させる5つのポイントで解説しています。