不動産に少額で投資できる不動産投資型のクラウドファンディング。多額の自己資金を用意したり、ローンを組んだりすることなく不動産投資にチャレンジできる点が人気で、今では多数の業者によってサービス展開されています。
今回はその中でも人気のサービスの一つである「クラウドリアルティ」について、実績や口コミ・評判などの調査をもとに、安全性やリスク、クラウドリアルティを選ぶメリット・デメリットなどについて解説します。
クラウドリアルティとは?運用実績は?
クラウドリアルティは不動産投資型クラウドファンディングのサービスの一つです。そもそも不動産クラウドファンディングは不動産投資の物件に小口化して投資するもの。プロジェクトは多くの場合、物件単位で募集されるため、投資家は投資先の物件の魅力やリスクを踏まえて投資判断を行います。
まずは、他の運用手法や、不動産クラウドファンディングサービスと比較した場合のクラウドリアルティの特徴を紹介していきます。
投資可能な不動産プロジェクトの種類が豊富
クラウドリアルティでは「可能性をつなぎ合わせ、次の未来をつくる。」「共感に根ざした投資をしたい人と事業をはじめる資金を調達したい人を結ぶプラットフォーム。未来の景色を変える様々なプロジェクトを、この場所から。」という理念のもと、他の不動産クラウドファンディングより多彩なタイプの不動産を投資としたプロジェクト実績があります。
過去には保育園への投資プロジェクト、京町家の再生プロジェクトといった、他の不動産クラウドファンディングではあまり見られないプロジェクトの募集も行われました。
この辺りは、そもそも具体的な投資先がファンドの判断にゆだねられるREITや、オフィスビルや賃貸住宅が主体となりがちな他の不動産投資型クラウドファンディングとの大きな違いといえるでしょう。
また、自己資金で賄うにしてもローンを活用するにしても、実物の不動産投資では短期間に複数の物件に投資をおこなうのは容易ではありませんが、1プロジェクトあたり最少5万円から小口投資が可能なクラウドリアルティなら分散投資も容易です。
投資先について詳しく情報収集できる仕組み
他のクラウドファンディングの課題の一つとして「投資先のことがわかりにくい」という評判・口コミが寄せられるケースは少なからずあります。一方クラウドリアリティでは運用条件を積極的に開示しています。一例を見てみましょう。
fa-checkシェア保育園プロジェクト#002(目黒区駒場分室)
募集総額 | 2,000万円 |
投資対象 | 保育施設 |
想定運用期間 | 60ヶ月 |
分配 | 期中分配あり |
配分方法 | 抽選:申込ベース |
想定利回り(IRR) | 年率4.5%(税引前)※ 弊社手数料控除後 |
想定投資倍率(MOIC) | 1.22x(税引前)※ 弊社手数料控除後 |
一口あたり出資金額 | 50,000円 |
最低出資口数 | 2口 |
出資者特典 | 特典(1) 出資金額15万~20万円である場合「いっしょにもぐもぐおかき」詰め合わせor正和学園刻印入り木製鍋敷き
特典(2) 出資金25万円以上である場合「いっしょにもぐもぐおかき」詰め合わせ&園児からのお手紙※詳細はプロジェクト概要の「出資者特典」をご覧ください。 |
弊社私募取扱手数料 | 3.0%(募集総額に対して) |
弊社運用管理手数料 | 年率2.0%(元本に対して) |
引用:(株)クラウドリアルティのHP
このほか、「京町家再生プロジェクト」「コワーキングオフィス」などのプロジェクトでは実際に投資物件を見学するサービスも提供されていました。
クラウドリアルティの運用実績と商品性
過去のプロジェクトを見てみると、クラウドリアルティの想定利回りはおおむね4.5%~10.0%の範囲。他のクラウドファンディングやソーシャルレンディングなどと比較すると決して高くはありませんが、小口投資として一般的な投資信託よりは高めの利回りが期待できます。
また、ソーシャルレンディングは「融資」の形態であることから多くの場合、融資先から受け取る利息が収益源となるため、当初想定より収益が増える余地は限定的です。一方、クラウドリアルティは不動産の証券化を通じて、「出資」の形態をとります。
クラウドリアルティの運営元はどんな会社?
クラウドファンディングでは、投資先だけでなく、運営元の安全性を重視して投資を行う必要があります。
クラウドリアルティの運営元に関する概要は次の通りです。
運営会社名 | 株式会社クラウドリアルティ |
本社所在地 | 東京都千代田区大手町一丁目6番1号大手町ビル2階 FINOLAB |
設立 | 2014年 |
代表取締役 | 鬼頭 武嗣 |
資本金 | 6.3億円(2017年12月時点) |
主要株主 | カブドットコム証券株式会社
グローバル・ブレイン5号投資事業有限責任組合 新生企業投資株式会社 株式会社新生銀行 FinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合 みずほ成長支援第2号投資事業有限責任組合 三菱地所株式会社 株式会社三菱UFJ銀行 三菱UFJキャピタル6号投資事業有限責任組合 |
サービス開始年月 | 2016年2月 |
累計応募金額 | 8億1,595万円(2020年2月時点) |
運用期間 | 2ヶ月~60ヶ月程度(プロジェクトにより異なる) |
上記の主要株主の通り、クラウドリアルティはカブドットコム証券、三菱UFJ銀行、みずほ銀行など、複数の大手金融機関が出資。資金調達環境が安定した強固な財務基盤を確立しています。
クラウドリアルティ運営会社の分別管理
クラウドリアルティでは、会社の経営資金と顧客の投資資金を厳格に分別管理しています。分別管理により、たとえクラウドリアルティの運営会社の業績が悪化したとしても、投資家の資金は保護される仕組みになっているのです。
具体的な分別手法としては、個々のプロジェクトごとに不動産事業の実施主体としての子会社を設立。各子会社それぞれの銀行口座の中で分別して投資資金などの管理をおこなうことで、運営会社や他の子会社の業績の影響を受けにくい仕組みになっています。
クラウドリアルティは詐欺なのか?
クラウドリアルティは過去に大胆なキャッシュバックキャンペーンを複数回おこなった実績があります。投資を始めるだけで投資原資を増やせる点で魅力的と評判となった一方で、高額すぎるキャッシュバック水準を背景に、ポンジスキームではないかと疑う口コミも散見されます。
ポンジスキームに近いとして行政処分を受けた「みんなのクレジット」の事例
過去には、「ポンジスキーム」に酷似しているとの理由で「みんなのクレジット」というソーシャルレンディングスキームが2017年に業務停止命令を受けた事例もあります。
- 投資プロジェクトごとの分別管理の不備
- 担保付を謳っていたにもかかわらず、担保設定の不備
- ファンドの出資金が、他のファンドの償還に回されていた
クラウドリアルティは大胆なキャッシュバックキャンペーンなどを行っていることから「他のファンドの出資金をキャッシュバック原資にしているのではないか?」との疑念が生じているようです。
クラウドリアリティはポンジスキームには当たらない
一部の口コミ・評判に反して、クラウドリアリティが詐欺に当たる可能性は極めて低いと想定されます。そう考えられる要因は、主に次の3点です。
- 審査や監査が厳しい複数の大手金融機関の出資
- 徹底した分別管理
- 詳細な投資先の不動産情報の開示
以上のポイントは過去のポンジスキームをはたらいた会社とは明らかに異なる特徴です。あくまでクラウドリアリティのキャンペーンはビジネス拡大のための宣伝の一環であり、投資を検討するうえで問題視する必要はないと言えるでしょう。
クラウドリアルティのデメリット・注意点
つづいてはクラウドリアルティで投資を行ううえでのデメリットや注意点を紹介します。これらのポイントについて理解したうえで、投資を検討することが大切です。
不動産投資型クラウドファンディング投資における一般的なデメリット・注意点
まずは、クラウドリアルティに限らず、不動産投資型クラウドファンディングに一般的にみられるデメリット・注意点は次の通りです。
- 不動産投資のリスクを伴う
- 元本割れのリスクがある
- 運営会社の倒産リスクがある
少額投資が可能で便利と言っても、あくまで投資の一種であることから、投資にはリスクを伴います。元本割れのリスクを含む、不動産投資の一般的なリスクがあることには留意が必要です。
運営会社が倒産した場合にも配当・償還が滞るなどして損失が発生するリスクがあります。クラウドリアルティのように強固な財務基盤を持ち、分別管理が徹底されている場合には相対的にリスクは低いものの、リスクをゼロにすることはできません。
クラウドリアルティ特有のデメリット・注意点
クラウドリアルティ特有のデメリット・注意点についても見逃してはいけません。具体的には次のような点に留意が必要です。
- 返済遅延・元本割れ償還が発生している
- 運用期間が長め
- 最低投資金額が高め
- 運用実績や募集がまだ少ない
- 出金時に手数料がかかる
- 中途解約ができない
特に投資家にとって注意したいのが返済遅延・元本割れの事象。京町家再生プロジェクトなど複数のプロジェクトで返済遅延がありました。それでも以前は「元本割れなし」をアピールしていたのですが、同プロジェクトの中の一つ「京町家1号ファンド」が元本割れでの償還に至ったという口コミも存在します。
そのほか運用期間が最短でも1年、長いものでは5年程度と比較的長期にわたる点にも注意。長期間資金を引き出せないことや、将来の投資環境の変化などにより期待していた収益が実現しないリスクなどを理解しておく必要があります。また、最低投資金額が5万円~となっており、1万円から投資可能な他のサービスがあることを踏まえると、やや高めの水準です。
また、過去の運用・募集実績は2021年7月現在で22件(不成立プロジェクトを除く)と、他のサービスと比較すると多いとは言えません。実績豊富なサービスの方が安心できるという方にとっては留意が必要なポイントでしょう。
クラウドリアルティのメリット
一方で、クラウドリアルティ特有のメリットも多数存在します。こちらは「投資のしやすさ」と「安全性」、「収益性」に分けて解説します。
投資のしやすさ
次の2点の特徴により、初心者でも不動産投資にチャレンジしやすいのが、クラウドリアルティのメリットです。
- 物件の情報や想定利回りの根拠などを詳しく公開
- 運用・管理の手間がかからない
クラウドリアルティは投資プロジェクトの物件情報を詳しく記載しています。想定利回りの根拠なども詳しく公開しているなど、投資判断がしやすいサービスとなっています。
また、投資家はクラウドリアルティが募集するプロジェクトへ応募するだけで投資は完了。一般的な不動産投資のように運用・管理に関する手間は特に発生しません。運用開始後は期待通り収益が発生しているか、定期的にチェックするだけで完結します。
安全性
安全性の観点からも、クラウドリアルティには次の二つのメリットがあります。
- 大手企業からの資金調達を実現
- 分別管理の徹底
不動産投資型クラウドファンディングを利用する際に忘れてはいけないのが運営会社の安全性。例え投資先の不動産が安全でも、運営会社のずさんな資金管理や財務状況の悪化の影響を受けるリスクがあるためです。その点クラウドリアルティは先にも紹介した、大手金融機関からの出資、プロジェクト別および会社資産との徹底した分別管理などをおこなっているため、安全性の高い運営会社といえます。
収益性
他の不動産投資型クラウドファンディングと比べると、利回りのレンジが高めとなっているなど、収益性の観点からもメリットがあります。
- 不動産投資型クラウドファンディングの中では利回りが高め
- 破格のキャッシュバックキャンペーン
- 優待や担保付きのプロジェクトも
クラウドリアルティの想定利回りは過去プロジェクトに基づくと4.5~10%の範囲でした。二けたに達する利回りは不動産投資型クラウドファンディングの中では高いといえるでしょう。また、先にも紹介したキャッシュバックキャンペーンも魅力。キャンペーンを活用すれば、数千円~1万円程度の投資元本をいきなり得ることが可能です。
また、プロジェクトによっては優待がついていることも評判に。プロジェクトのテーマ・コンセプトに紐づいた食事・体験イベントなどを提供しているのです。例えば「~紡~石不動之町 京町家再生プロジェクト」では一人当たり最大5,000円相当の昼食券が交付されます。
https://i-fields.jp/investment/v-share
クラウドリアルティの口コミ・評判は?
Twitterより引用
Twitterより引用
Twitterより引用
Twitterより引用
クラウドリアルティの始め方~会員登録の流れ~
最後にクラウドリアルティで投資を始める手順を順番に解説していきます。PC・スマホどちらからでも登録可能ですが、一部の書類をカメラ撮影して添付する必要があるため、スマホの方が便利です。
①会員登録を行う
まずはクラウドリアルティのWebサイトから「会員登録」の画面に遷移。メールアドレスを入力し、会員登録の手続きを開始します。確認メールに記載された6桁の数字を入力すると、投資家登録に進めるようになります。
②投資家登録
投資家登録でプロフィールを入力していきます。なお、マイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カード、本人確認書類(運転免許書・パスポートなど)が必要になるため、あらかじめ用意しておきましょう。またログインパスワードの設定もこの時点で行います。
その他、分配金などの払い戻しを受ける金融機関の口座もこの時に登録。手順に従って自身の金融機関のキャッシュカードもしくは通帳の画像登録をおこなえば完了です。
ウェブでの登録後、登録した住所にハガキが郵送されますので、このハガキを受け取った段階で登録が完了です。おおむねハガキは1週間以内で届きます。
③預託金へ入金
会員登録は以上で完了ですが、投資の準備をするためにはプロジェクト応募前の「預託金の入金」が必須です。会員登録後にログインし「口座残高」の項目内にある「入金する方法」のボタンをクリックします。
当初に登録した口座情報が記載されています。口座情報に問題がなければ、預託金口座への「出資申込希望額」を記入して入金をしましょう。
これで、投資の準備は完了。あとは魅力的な不動産の投資プロジェクトに応募していきましょう。
まとめ
クラウドリアルティは不動産投資型クラウドファンディングの一種。不動産投資と異なり、5万円~と少額から始められるのが魅力です。また、複数の不動産物件に分散投資ができるため、リスク分散も容易となっています。
また、数ある不動産投資型クラウドファンディングの中では、他にはあまり見られない多彩なプロジェクトや、物件に関する詳細な情報開示などがクラウドリアルティの特徴。また、たびたび口コミ・評判にのぼる積極的なキャンペーンの実施も魅力です。
少額で不動産投資にチャレンジしたい人や、一般的な賃貸住宅やオフィスなどとは異なる物件にも投資してみたい方におすすめ。不動産物件それぞれの商品特性・リスクなどを充分に理解したうえで、まずは少額から取り組んでみるとよいでしょう。